クーポンで20人来た。値引いた60,000円は、次に何人来れば戻るのか
2026年8月27日
美容室の話です。スタイリスト3名。通常8,000円のメニューを、予約サイトで5,000円のクーポンにしました。37.5%引きです。
1ヶ月で、20人来ました。(金額はすべて税抜で書きます)
管理画面に出るのは、ここまでです。20人。 この数字を見て、続けるか、やめるか、もう少し安くするかを決めることになります。
20人という数字だけでは決められません。決めるのに要る数字は、もう1つあります。
答えは9人。次に9人が通常価格で戻れば、値引いた分は取り返せる
先に答えを書きます。
この20人のうち、9人が次に8,000円で来てくれれば、値引いた分は戻ります。
20人に対して9人。45%です。
この45%という数字を持って管理画面を見ると、見え方が変わります。20人来たことがよかったのかどうかは、そのあと9人が戻ったかどうかで決まるからです。
なぜ9人なのか。順番に書きます。
3,000円引くと、売上が3,000円減るのではありません。粗利が3,000円減ります
ここが、いちばん間違えやすいところです。
8,000円を5,000円にすると、3,000円引いたことになります。この3,000円を「売上が減った分」と考えると、話がずれます。
値引きをしても、施術の中身は変わりません。 使う薬剤の量も、かかる時間も、通常のお客様とまったく同じです。材料費は1円も値引きされません。
材料費率7%の店で、8,000円のメニューにかかる材料費は 560円 です。(この7%はKUROCOの現場実感による目安で、公的な統計ではありません)
並べます。
| 受け取る金額 | 材料費 | 手元に残る粗利 | |
|---|---|---|---|
| 通常のお客様 | 8,000円 | 560円 | 7,440円 |
| クーポンのお客様 | 5,000円 | 560円(同じ) | 4,440円 |
7,440円が4,440円になります。差は3,000円。値引いた額と、ぴったり同じです。
材料費が値引かれない以上、引いた3,000円は、まるごと粗利から出ていきます。 売上の一部が減るのではなく、残るはずだったお金がそのまま減ります。
もう1つ、ここから分かることがあります。
37.5%引きなのに、粗利は40.3%減っています。(3,000円 ÷ 7,440円)
値引き率より、粗利の減り方のほうが大きくなります。「4割引きくらいまでなら」と値引き率で考えているとき、実際の粗利は、その値引き率より少し多く削れています。
だから、20人で配ったのは60,000円です
1人あたり3,000円。20人来たので、
3,000円 × 20人 = 60,000円
この1ヶ月のクーポンで、60,000円ぶんの粗利を配ったことになります。
「60,000円の広告費を使った」と言い換えても、ほぼ同じ意味になります。違うのは、払った相手が予約サイトではなくお客様であることだけです。
そして、掲載料や手数料を別に払っているなら、それはこの60,000円の外側です。 足してください。
60,000円を戻すのに、通常価格のお客様が9人要ります
戻す側の計算です。
通常価格で来たお客様1人が、手元に残す粗利は7,440円でした。60,000円を7,440円で割ります。
60,000円 ÷ 7,440円 = 8.06人
8人では足りません。8人だと 7,440円 × 8人 = 59,520円で、480円だけ届きません。 だから 9人です。
20人のうち9人。45%が通常価格で戻ってくれば、この値引きは取り返せます。
45%が高いのか低いのかは、店によって違います。「新規のお客様の再来率は普通◯%です」と言える数字は、持っていません。 ただ、自分の店で45%が起きているかどうかは、思い当たるはずです。
実際に戻ったのが6人なら、あと15,360円
先ほどの例で、次も来たのが6人だったとします。
7,440円 × 6人 = 44,640円
60,000円 − 44,640円 = 15,360円
9人に対して6人。金額でいうと、15,360円ぶんが、まだ戻っていません。
ここで手元に残っている粗利は、こうなります。
- クーポンで来た20人 → 4,440円 × 20人 = 88,800円
- 次も来た6人 → 7,440円 × 6人 = 44,640円
- 合計 133,440円
マイナスではありません。133,440円は手元にあります。 値引きをしても、1人あたり4,440円は残っているからです。
戻っていないのは、値引かなければ受け取れたはずの60,000円のうちの、15,360円です。ここを混ぜないでください。「損をした」ではなく、「配った分が、まだ全部は返ってきていない」です。
人数で足りなくても、回数で戻せます
6人では9人に届きません。ただ、戻し方は人数だけではありません。
その6人が、2回ずつ来てくれた場合。
7,440円 × 6人 × 2回 = 89,280円
60,000円を超えます。人数は6人のままでも、2回目で戻ります。
3回ずつなら 133,920円になります。
だから、クーポンを出したあとにやることは、次のクーポンを考えることではありません。 来た方に次回の予約を取っていただくことです。同じ6人でも、1回で終わるか2回続くかで、結果が入れ替わります。
人数を追いかけると、次も値引きで集めることになります。回数を追いかけると、値引きなしで戻ってきます。戻す手立ては2つあって、後者のほうが安く済みます。
この計算に入っていないもの
正直に書きます。3つあります。
1つめ。この20人が、値引きがなくても来たかどうかは分かりません。
もし何人かが通常価格でも来ていた方なら、その人たちには3,000円を配る必要がなかったことになります。この計算は、そこを区別していません。
2つめ。掲載料とクーポンの手数料は入っていません。 60,000円とは別に出ていきます。
3つめ。家賃も人件費も引いていません。 ここまでの金額は、材料費だけを引いた粗利です。利益ではありません。
サロン電卓の「値引き・クーポンの損益」は、通常の価格・割引後の価格・来た人数を入れると、手元に残った粗利と、値引いた金額の合計、そして値引いた分が戻るのに必要な次の来店人数を出します。8,000円を5,000円にして20人なら、133,440円・60,000円・9人と出るのがこの画面です。次も来た人数が分かれば、その人数を9人の隣に並べます。
https://salondentaku.com/apps/coupon-margin
登録なしで使えます。次も来た人数は任意なので、分からないまま開いても、9人という線までは出ます。
この画面は、足りている・足りていないを書きません。 9人と6人を並べるところまでで止めてあります。上の1つめの理由があるかぎり、画面の側で良し悪しを言い切ることはできないからです。
判断するのは、その店の人です。判断に要る2つ目の数字を、20人の隣に置くところまでが、この道具の仕事です。