シャッターを開けた時点で、9,107円のマイナスです。これは何のお金でしょうか
2026年9月16日
美容室の話です。3年前に開業しました。内装と設備に1,200万円かけました。1,000万円を年2.0%・7年で借りています。
朝、シャッターを開けます。お客様は、まだ1人も来ていません。家賃も人件費も材料費も、今日はまだ1円も払っていません。それでも、この時点でもう、マイナスから始まっています。いくらのマイナスなのかは、このあとすぐに出します。
売上は悪くありません。それなのに、毎月の返済日が近づくと、胃が痛い。
開業のお金は、契約のときに総額で話します。1,200万円。1,000万円。でも、効いてくるのは毎月です。 みなさんは、その毎月がいくらなのかを、開業のあとに出し直したことはありますか。
この記事は、その1点だけに答えます。
出してみます。
毎月の負担は227,675円。1日あたり9,107円です
先に答えを書きます。
- 内装・設備の1,200万円を10年で使うとして、月100,000円
- 借入の1,000万円を年2.0%・7年で返して、月127,675円
- 合わせて、月227,675円
25日営業なら、1日あたり9,107円です。朝、シャッターを開けた時点のマイナスは、この9,107円だとわかります。
家賃も人件費も材料費も、まだ1円も払っていない。それなのに、9,107円のマイナスから1日が始まっている。返済がきついという感覚には、ちゃんと金額があるのです。
227,675円のうち、通帳から出ていくのは127,675円だけです
ここが、この数字のいちばん大事なところです。227,675円は、毎月出ていく現金ではありません。
分けます。
| 金額 | 中身 | |
|---|---|---|
| 借入の返済 | 127,675円 | 毎月、実際に通帳から出ていくお金 |
| 内装・設備 | 100,000円 | 開業のときに使った1,200万円を、使う年数(10年)で割った分 |
胃が痛くなる原因は、下の100,000円ではないことがわかります。上の127,675円の方です。
では下の100,000円は、無視していいのでしょうか。だめです。10年後に、もう一度、内装をやり直すからです。そのときに手元にお金が無ければ、また借りることになります。100,000円は、次の1,200万円の積立(いつか必ず来る大きな出費に向けて、毎月とっておくお金)だと思ってください。
もう1つ、断っておきます。内装を借入で賄っている場合、この2つは同じお金を2回数えていることになります。内装の100,000円には、借りた1,000万円で払った分が入っていて、借入の返済127,675円にも、その同じ元金(借りたお金そのもの)が入っているからです。
それでも1つの金額で持っておく意味は、返済をしながら、次の内装の積立もするからです。数字の上では重なって見えても、やることは2つあります。
出ていくお金と、いつか出ていくお金。この2つを1つの数字にまとめたのが227,675円なのです。どちらか片方だけを見ていると、判断を間違えます。
100,000円は、店の実力ではありません。何年で使うかで決まります
さきほどの100,000円は、店の実力を表した金額ではありません。内装を何年で使うつもりかで決まるのです。
同じ1,200万円でも、こうなります。
- 7年で使うつもり → 月142,857円
- 10年で使うつもり → 月100,000円
- 15年で使うつもり → 月66,667円
いちばん上といちばん下で、倍以上ちがうことがわかります。
だから、何年で使うつもりかは、適当に決めないでください。使うのは、税務で決まっている年数ではありません。自分が次に大きく直すまでの年数です。
判断のしかたは1つです。前の店を、何年で直しましたか。クロスの張り替え、セット面の交換、シャンプー台。実際にやった周期があるなら、それがいちばん正しい年数です。まだ1周していないなら、10年で置いて、直したときに入れ直せば足ります。
利息724,700円は、均すと月8,627円。重い最初の月でも16,667円です
1,000万円を年2.0%・7年で借りると、返す金額の合計は10,724,700円になります。うち利息(借りたことに対して、元金に上乗せして払うお金)が724,700円です。
724,700円と聞くと、大きい。ここで「借りなければよかった」と思う人がいます。
月に直します。返済は7年で84回あります。84回で均すと、1回あたり8,627円だとわかります。
ただし、平らではありません。元金が減るほど利息も減るので、いちばん重い最初の月で16,667円、最後の月は212円になります。
大事なのは、いちばん重い月でも16,667円だということです。724,700円という総額の印象とは、桁が違います。
8,627円をどう見るかは、店によって違います。ただ、この金額を出さないまま「利息がもったいない」で、繰り上げ返済(決められた日より先に、まとめて返してしまうこと)に手元の現金を全部使ってしまうと、次にエアコンが壊れた日に、また借りることになりかねません。しかも、そのときの借り方は選べません。
総額で驚いて判断しない。月に直してから決める。それだけの話なのです。
7年で返し終われば、負担は100,000円に落ちます
返済がきついとき、効いてくるのは「いつ終わるか」がはっきりすることです。
さきほどの127,675円は、借入の返済でした。この例では、その借入は7年で終わります。8年目からは、毎月の負担は127,675円ぶん軽くなって、100,000円だけになります。
開業3年目なら、あと4年です。
軽くなるという話ではありません。終わりの日付が決まっている、という話です。 それが分かっていれば、今きついのか、この先ずっときついのかを、混ぜずに考えられます。
227,675円に入っていないもの
正直に書きます。この金額は、開業にかかるお金の全部ではありません。
- 敷金・保証金は入っていません。退去のときにいくら戻るかは契約で決まるもので、ここまでの計算は、その契約の中身を見ていません
- 税金の計算はしていません。会計や税務でいう減価償却、つまり税金を計算するために決められた年数で割るやり方とは、別の計算です
- 家賃・人件費・材料費は入っていません。これは開業のお金だけを月に直した数字です
そして、いちばん大きい限界を1つ。借りられるかどうかと、金利が何%になるかは、この計算では分かりません。決めるのは金融機関です。年2.0%は、この例で置いた数字です。
227,675円は、開業した日より、いまの方が要ります
この227,675円は、開業の前に出すものだと思われがちです。実際は逆で、返済がきつい今の方が、出す意味があります。
理由は3つです。
- 金額が確定している。開業前は見積り、いまは実際に借りた金額と金利
- 年数を実感で入れられる。3年使ってみて、あと何年もつかが見えている
- 終わりの日付が出る。これは開業前には実感として持てない
3つとも、開業の前には手に入らなかったものだとわかります。
打つのは6つの欄。借入が無ければ2つで出る道具があります
サロン電卓の「初期費用が月にいくら乗るか」は、内装・設備にかけたお金と使う年数、借入の金額・金利・期間を入れると、毎月の負担を1つの金額で出します。借入が無ければ、打つのは2つだけです。1,200万円を10年、1,000万円を年2.0%・7年で入れると、227,675円と出るのがこの画面です。
借入があるときは、金額・金利・期間の3つがそろってはじめて、毎月の返済が出ます。金利の欄を空けたままにすると、返済の行は出ません。そのときに出るのは内装・設備の分だけで、この例なら毎月の負担は100,000円になります。
敷金・保証金を入れる欄もありますが、入れても毎月の負担は変わりません。
出た返済の金額は、目安です。実際の返済額は、金融機関の計算のしかたで数円から数百円ずれることがあります。
https://salondentaku.com/apps/initial-cost-monthly
登録なしで使えます。出た金額は「損益分岐の月商」に足して使えます。毎月いくら売れば赤字にならないかを出す画面です。その「その他の毎月かかるお金」に足すと、この負担を抱えたまま毎月いくら売ればいいかまで下りられます。
足す金額は、見たいもので変えてください。次の内装の積立まで含めた月商を出したいなら227,675円。いまお金が回るかを見たいなら、返済の127,675円です。内装を借入で賄っているなら、お金が回るかを見る側では127,675円を使ってください。
最後に、この金額の使い方を1つだけ。
227,675円は、良いか悪いかを決める数字ではありません。この画面は、他のお店の開業費を持っていません。持っているのは、あなたが実際に使った金額と、実際に借りた条件だけです。出した数字は、他の店ではなく、“返済が終わる日”と並べてください。
ぜひ一度、明日の朝シャッターを開ける前に、実際の金額と条件を入れて、1日あたりいくらから始まっているのかを出してみてください。きっと、きついという言葉が、金額と日付に変わるはずです。
内装と借入を合わせて、開業のお金が毎月いくらの負担になるかを計算します。その金額は「損益分岐の月商」に足して使えます。
登録なしで、無料でお使いいただけます。
- 開業して3年、返済がきつい。1,200万円の内装は、毎月いくらに化けているのか内装1,200万円と借入1,000万円は、毎月227,675円・1日9,107円。うち通帳から出ていくのは127,675円だけです。
- スタッフ3人のお給料を、1万円ずつ上げたい。お客様は月にあと何人要るのでしょうかお給料を上げたい。けれど、上げたあとも店が回るのかが分からず、まだ切り出せずにいませんか。上げる金額を、お客様の人数に直します。
- 毎月1,450,000円が出ていく店で、1,450,000円を売れば赤字にならないのか毎月出ていくお金が1,450,000円なら、1,450,000円売れば赤字にならない——そうはなりません。足し算ではなく割り算です。
- 2店舗目の開業のお金は、3年で戻る見込みです。1日1人少なかったら、何年かかるのでしょうか見込みの客数が少し外れただけで、開業のお金が戻るまでの年数が大きく延びることがあります。どこで延びるのかを、引き算で探します。
- 📊 損益分岐の月商(いまの店)毎月の負担を足したうえで、毎月いくら売れば赤字にならないかが出ます。
サロン電卓には、いま35本の道具があります。道具の一覧を見る →