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材料費を下げたい。棚の薬剤を全部並べる前に、見るところはどこですか

2026年9月11日

美容室の話です。スタイリスト3名。

材料費を下げたい、と思った夜のこと。

閉店後、薬剤の棚の前に立ちます。上から順に見ていく。カラー剤、オキシ、シャンプー。どれも、そこそこの値段がします。

どれから手を付けますか。

その前に、1回ぶんを出してみます。

メニューはカラーのリタッチ。お客様からいただく価格は8,000円(税抜)です。この1回で、薬剤にいくらかかっているか。

出してみると、996円でした。

996円は、8,000円の12.5%です。この割合を材料費率と呼びます

まず、この996円が8,000円に対してどれくらいかを出します。

「いくらのうち、いくら」を出したいときは、割り算です。 割られる側(÷ の前)に材料費、割る側(÷ のうしろ)に価格を置きます。

996円 ÷ 8,000円 = 0.1245

0.1245 のままでは大きさが分かりにくいので、% に直します。%は、全体を100としたときにいくつか、という数え方です。だから100を掛けます。

0.1245 × 100 = 12.45 → 小数第2位を丸めて 12.5%

この「売上に対して、材料費が何%か」を、材料費率と呼びます。 この施術の材料費率は12.5%、ということです。

言い方を変えると、8,000円のうち996円ぶんが薬剤に消えていて、残りが 8,000円 − 996円 = 7,004円、ということです。この7,004円が何なのかは、後段で説明します。

(996円・12.5%・7,004円は、例として置いた値です。実際に測ったお店の数字ではありません)

1本だけです。996円のうち、960円が1剤でした

先に答えを書きます。棚を全部見る必要はありません。金額の9割を占めている1本だけ見れば足ります。

なぜそう言えるのか。996円の中身を、2つに分けて出します。

1つ目、カラー剤(1剤)です。

仕入れは1本2,400円。中身は100g入りです。ここから「1gあたりいくらか」を出します。1本の値段を、1本に入っている量で割ります。

2,400円 ÷ 100g = 1gあたり 24円

このリタッチで使うのは40gです。1gが24円なので、40g分の金額は掛け算で出ます。

24円 × 40g = 960円

2つ目、オキシ(2剤)です。

仕入れは1本600円。中身は1,000mL入りです。同じやり方で、1mLあたりを出します。

600円 ÷ 1,000mL = 1mLあたり 0.6円

使うのは60mLなので、

0.6円 × 60mL = 36円

2つを足すと、1回ぶんの薬剤代になります。

960円 + 36円 = 996円

これが、最初に出した996円の中身です。

では、996円のうち、1剤とオキシはそれぞれ何割を占めているのか。さっきと同じ割り算です。今度は、割る側(÷ のうしろ)に996円を置きます。

  • 1剤 960円 ÷ 996円 = 0.9638… → 100を掛けて 96.38% → 96%
  • オキシ 36円 ÷ 996円 = 0.0361… → 100を掛けて 3.61% → 4%

96%が1剤で、オキシは4%。

ここが分かると、やることが1つ減ります。オキシの仕入れ値を交渉しても、1回あたり数円しか動きません。 1回に使うオキシは、もともと36円ぶんしかないからです。どれだけ値切っても、動くのは36円の中だけです。値段の話をするなら、相手は1剤のほうです。

棚の前に戻ります。上から順に見ていく必要は、ありませんでした。

(2,400円・100g・40g・600円・1,000mL・60mLも、例として置いた値です)

12.5%は、おかしな数字ではありません

「材料費率が12.5%」と聞いて、高いと思ったかもしれません。ここは判断を間違えやすいところです。

高いように見えるのは、比べる相手が違っているからです。

美容室の材料費率の目安として、7% という数字があります。

(この7%は公的な統計ではありません。KUROCOが運営する美容室3店舗で、材料費を売上の7%以内におさえています。その線を、そのまま目安として置いています。他店の平均ではないので、7%を超えていることが悪いという意味にはなりません)

7%と、カラー1回の12.5%。倍近い数字です。

でも、この2つは比べてはいけません。数えているものが違います。

12.5%は、カラー1人ぶんの材料費率です。7%は、店に来たお客様全員をならしたときの材料費率です。数えている範囲が違います。

なぜ範囲が違うと、数字が変わるのか。店には、カットだけのお客様もいるからです。

カットのお客様には、薬剤を使いません。カット5,500円にかかる薬剤代は、ほぼゼロです。シャンプー剤くらいしか使いません。薬剤代がゼロに近いお客様が混ざると、店全体の材料費率は下がります。

(カット5,500円は、店の実数ではありません。例として置いた価格です。ご自分の店のカット価格に置き換えて読んでください)

では、どれくらい下がるのか。カラーとカットが半々の店を考えて、2人ぶんで出してみます。カラーのお客様1人と、カットのお客様1人です。

  • カラーのお客様 いただく価格8,000円、薬剤代996円
  • カットのお客様 いただく価格5,500円、薬剤代 ほぼ0円

店全体の材料費率を出すときは、2人ぶんの材料費を足して、2人ぶんの売上を足して、その2つで割ります。 1人ずつの率を出して平均するのではありません。お店の財布に入った合計と、お店の財布から出た合計を比べたいからです。

売上を足します。この2人からお店に入るお金の合計です。

8,000円 + 5,500円 = 13,500円

材料費を足します。この2人のために使った薬剤代の合計です。

996円 + 0円 = 996円

材料費率は、材料費 ÷ 売上でした。同じ式に入れます。

996円 ÷ 13,500円 = 0.07377…

100を掛けて % に直します。

0.07377… × 100 = 7.377… → 小数第2位を丸めて 7.4%

カラー1回では12.5%だったものが、カットのお客様と2人で見ると7.4%になりました。 カットのお客様の5,500円が、薬剤代を増やさずに売上だけ増やしたからです。

7.4%と目安の7%は、ぴったり同じにはなりません

ここで「7.4%だから、目安の7%とほぼ同じだ」と読みたくなります。そう読まないでください。

この996円には、シャンプー剤が入っていないからです。 一方で、目安の7%のほうには、シャンプー剤が入っています。片方にだけ入っていない状態で比べています。

そこで、こちら側にもシャンプー剤を足して、条件をそろえます。

シャンプー剤は、1回100円として計算します。

この100円には、根拠がありません。 目安として置いた数字です。お店によって使う量も仕入れ値も違うので、ご自分の店の数字に置き換えてください。

足すのは2回ぶんです。カラーのお客様にも、カットのお客様にも、シャンプーをするからです。だから、100円を2回足します。合わせて200円ぶん増えます。

材料費を出し直します。

996円 + 100円 + 100円 = 1,196円

売上のほうは変わりません。 13,500円のままです。シャンプー剤は、お店が払うお金であって、お客様からいただくお金ではないからです。 材料費だけが増えます。

8,000円 + 5,500円 = 13,500円

もう一度、材料費 ÷ 売上 に入れます。

1,196円 ÷ 13,500円 = 0.08859…

100を掛けて % に直します。

0.08859… × 100 = 8.859… → 小数第2位を丸めて 8.9%

7.4%が8.9%になりました。

カラー1回の12.5%は、店全体で見ると7〜9%まで落ちる。 7.4%と8.9%の間、ということです。店全体の率は、カットのお客様が薄めたあとの数字です。

だから、カラー1回だけを取り出して12.5%になるのは、おかしなことではありません。逆に言うと、店全体が7〜9%に収まっているからといって、カラーの薬剤代が適正だという証拠にもなりません。店全体の数字は、カラーの中身を見せてくれないからです。

12.5%という数字ひとつでは、高いも安いも決まりません。

比べる相手は3つあります。いちばん効くのは、捨てている分です

では、996円は何と比べればいいのか。3つあります。効く順に置きます。

  1. 捨てている分を入れた、本当の996円
  2. 先月の自分の996円
  3. 同じ店の、別のメニューの996円(デザインカラー、縮毛矯正)

いちばん効くのは1番です。 ここだけ詳しく書きます。

ボウルの底に残った10gが、仕入れ交渉より5倍効きます

施術が終わって、ボウルを片づけます。

混ぜて、10g余って、そのまま流していませんか。

(10gは、仮に置いた数字です。実際に何g余っているかは、お店によって違います。このあと、この数字が変わるとどうなるかも書きます)

その10gが、いくらぶんかを出します。1剤は1gあたり24円でした(2,400円 ÷ 100g で出した数字です)。

24円 × 10g = 240円

この240円は、使わなかったお金ではありません。買って、捨てたお金です。だから材料費です。

さっきの996円に足します。

996円 + 240円 = 1,236円

材料費率も出し直します。材料費 ÷ 売上 です。

1,236円 ÷ 8,000円 = 0.1545

100を掛けて % に直します。

0.1545 × 100 = 15.45 → 小数第2位を丸めて 15.5%

12.5%が15.5%になりました。差を引き算で出します。

15.5% − 12.5% = 3

%どうしの引き算は、「%」ではなく「ポイント」と数えます。 だから、3ポイントです。

10g余らせただけで、材料費率が3ポイント動きます。

次に、これが1年でいくらになるかを見ます。1回240円が、何回あるかを掛けます。カラーを月100回やる店で計算します。

(月100回は、仮に置いた数字です。ご自分の店の回数に置き換えてください)

1ヶ月 240円 × 100回 = 24,000円

1年  24,000円 × 12ヶ月 = 288,000円

では、仕入れ交渉のほうはどうか。

1剤の2,400円を、5%安くしてもらえたとします。(オキシではなく1剤だけの話です。全部の材料が5%安くなる話ではありません)

5%引きということは、元の95%の値段になるということです。

2,400円 × 0.95 = 2,280円

1本の値段が下がったので、1gあたりも下がります。

2,280円 ÷ 100g = 1gあたり 22.8円

1回に使うのは40gなので、

22.8円 × 40g = 912円

交渉前は960円でした。1回あたりで、いくら安くなったか。引き算です。

960円 − 912円 = 48円

これも1年ぶんにします。

1ヶ月 48円 × 100回 = 4,800円

1年  4,800円 × 12ヶ月 = 57,600円

2つを並べます。

  • 捨てている10gをやめる → 1年で 288,000円
  • 1剤の仕入れを5%下げてもらう → 1年で 57,600円

どちらが何倍大きいか。大きいほうを、小さいほうで割ります。

288,000円 ÷ 57,600円 = 5

10g余っているなら、捨てている方が5倍大きい。

余りが10gでなかったら、どうなるか。捨てている分の金額は、余ったgの数にそのまま比例します。

  • 余りが半分の5gなら、捨てている分も半分。2.5倍
  • 余りが倍の20gなら、捨てている分も倍。10倍

倍率は、どれだけ余らせているかで動きます。 動いても向きは変わりません。仕入れ値より、余りの方が効きます。

しかも交渉は相手のあることで、時間もかかります。余りを減らすのは、今日の1人目からできます。

だから、材料費を出すときは、混ぜて余った分も「1回に使う量」に入れてください。 捨てている分は、使っていないのではなく、材料費です。

残った7,004円は、儲けではありません

もう一度、最初の引き算に戻ります。

8,000円 − 996円 = 7,004円

この7,004円を利益と読むと、必ず判断を間違えます。

8,000円から引いたのが、薬剤代だけだからです。

人の時間が入っていません。 カラーで2時間かかっていれば、その2時間の人件費と、その間の家賃と、電気と水道が、この7,004円から出ていきます。シャンプー剤もタオルも入っていません。

ここまで出してきた996円は、「薬剤にいくら使ったか」だけの数字です。この技術1回にかかったお金の全部ではありません。

そして、この996円は、1回出して終わりになりません。

仕入れ値は変わります。使う量も人で変わります。同じリタッチでも、スタイリストによって40gが50gになります。40gが50gになるということは、10g多く使うということなので、さっきと同じ計算で 24円 × 10g = 240円 ぶん増えます。

1回出した996円は、その日、その人の数字です。3ヶ月並べて、はじめて傾きが見えます。 上がっているのか、下がっているのか。それが分かってから、1剤の話をすればいい。

ここまでの計算を、3つ入れるだけで出す道具があります

ここまでやったのは、掛け算と割り算だけです。それでも、毎月やるとなると面倒です。

サロン電卓の「材料費・薬剤の1施術あたり原価」に、3つ入れてください。

  • 1本の仕入れ価格(この記事の例では2,400円)
  • 容量(この記事の例では100g)
  • 1回に使う量(この記事の例では40g)

出るのは3つです。

  • 1施術あたりの金額(996円)
  • メニュー価格に対する比率(12.5%。はじめに出した材料費率です。画面にも「材料費率」と出ます)
  • 残る金額(7,004円)

8,000円のリタッチで996円、12.5%、残り7,004円と出るのが、この画面です。材料は3つまで足せます。

この40gは、余りを入れていない数字です。 さきほど書いたとおり、ご自分の店で打つときは、混ぜて余って捨てている分も、この「1回に使う量」に足してください。 足すと、出てくる金額も比率も上がります。

登録なしで使えます。

1回に使う量を、gではなくプッシュの回数で数えている店もあります。その場合は、計量カップに10回押し出して10で割ると、1プッシュの量が分かります。

よく出るメニュー1つで出した比率を、お店の目安として持っておくと、次の話が早くなります。

サロン電卓には、もう1つ「損益分岐の月商」という画面があります。そこで業種から「美容室」を選ぶと、前に出てきた目安の7%が最初から入っています。同じ7%です。

良し悪しの線について、1つだけ。

この比率に、良い・悪いの線はありません。 この画面には、他のお店の数字は入っていません。入れられるのは、あなたのお店の数字だけです。だから、比べる相手は先月の自分の店になります。

この記事で使った道具
🧪 材料費・薬剤の1施術あたり原価

薬剤1本あたりの仕入れ価格と1回に使う量から、1回の施術にかかっている材料費を計算します。メニューの価格に対して何%かと、残る金額が出ます。

登録なしで、無料でお使いいただけます。

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