求人を出しても応募が来ない。前と同じ求人票を、また出して大丈夫か
2026年8月27日
「掲載期間終了のお知らせ」というメールが届く。応募、0件。
画面には「同じ内容で更新する」のボタンがある。掲載料はまた出ていく。写真を変えようか、キャッチコピーを直そうか、と考えはじめる。
ただ、前と同じ求人票をそのまま出すと、応募する人は前と同じところで手を止める。 止まっている場所は、たいてい文章の上手さではない。
以下、美容室のスタイリスト募集の話に絞って書く。アシスタントやアイサロンでは、応募する人が知りたい項目の並び順が変わる。
応募する人は「読んで気に入る」のではなく、「載っていないと止まる」
求人票は、読み物として評価されていない。応募する人は、自分の生活が成り立つかを確かめるために読んでいる。
給料の上がいくらか。休みは週に何日か。練習はいつやるのか。材料費は誰が払うのか。
このうちどれか1つでも載っていないと、その場では判断できない。判断できないものは、後回しになる。後回しになったものは、戻ってこない。
だから直すのは、文章ではなく、載っていない項目のほうになる。
見る項目は、その募集の条件で決まる。1回に見るのは7〜12項目
項目は全部で16ある。ただし、その16を毎回すべて見るわけではない。 募集の条件によって、見る項目が入れ替わる。同じ求人票でも、正社員の募集と業務委託の募集では、名指しされる項目が変わる。
どの募集でも必ず見る7項目
お給料の幅/働く時間/休み/試用期間/応募してから何が起きるか/一緒に働く人/お客様のこと
雇用(正社員・パート)で募集するときだけ、ここに3つ足される
賞与・昇給/社会保険/交通費
業務委託で募集するときだけ、代わりにこの3つが足される
歩合の率/材料費・席料・道具代を誰が払うか/最低保証があるか
未経験も対象にするときだけ、さらに2つ足される
練習時間の扱い/デビューまでの目安
経験者だけを募集するときは、代わりに1つ足される
指名の仕組み
合わせて、1回に見るのは7項目から12項目になる。
判定は、ここで1回だけでいい。 先に2つ答えておく。
- 募集の形は、雇用か業務委託か
- 未経験も採るか、経験者だけか
この2つで、下の節のどれが自分に当てはまるかが決まる。以下、各節の見出しの下に[ ]で1行だけ書いておく。自分に当てはまらない節は、そこで飛ばしてかまわない。
この一覧は、応募した人に聞いて作ったものではない。お給料・働く時間・休み・試用期間・賞与・社会保険・交通費は求人媒体に一般にある項目で、練習時間の扱い・材料費や席料の負担・歩合・休みの取り方は、サロンを運営している現場の経験から入れている。この項目でないと応募が来ない、という意味ではない。
全部埋めない。今日直すのは1つだけ
見る項目を一度に全部埋めようとすると、たいてい着手しないまま掲載期間が終わる。
上に置かれている項目には、2つの条件がある。
- お店がもう答えを持っていて、今日書けること
- 書いていないと、応募する人が外から調べる方法がないこと
逆に、一緒に働く人・お客様のこと・交通費・指名の仕組みが下にあるのは、外から見て、ある程度は分かるからだ。店のInstagramを見れば人数もお客様の年代も想像がつく。書かなくていいという意味ではなく、今日直す1つには選ばれにくいというだけになる。
いちばん上は「お給料の幅」。金額は書いてあっても、上が書かれていない
[どの募集でも出る。順番はいちばん上]
「月給25万円〜」と書いてある求人票は多い。この「〜」の先が書かれていない。
応募する人が本当に知りたいのは、入った瞬間の金額ではなく、この店で続けたらどこまで行くのかのほうだ。上限が書かれていないと、上がるのか上がらないのかが分からない。分からないものには、生活を預けられない。
上限を書き足すのにかかる時間は、5分だ。金額を新しく決める必要はなく、いまいちばん取っている人の水準を書けばいい。
歩合と材料費は、業務委託で募集するときだけ名指しされる
[業務委託のときだけ出る。雇用の募集では代わりに賞与・昇給/社会保険/交通費]
歩合は「歩合」という言葉では書かれていない。
実際に出ている求人ページを4本(リクエストQJ/リジョブ2件/求人ボックス)見て分かったことがある。歩合は「歩合率」と書かれていない。「指名62%〜/フリー52%〜」のように、率の形でだけ書かれている。
そして率だけでは、応募する人は手取りを出せない。
率と一緒に、材料費・席料・道具代を誰が払うかを並べて書く。 ここまで書いて、初めて手取りが見える。書き方はこれくらい素っ気なくていい。
ハサミ・ブラシ等の道具は本人負担/席料なし
これも5分で書ける。決まっていることを、そのまま書くだけだから。
「未経験歓迎」と書くなら、練習時間の扱いを書く
[未経験も採るときだけ出る。経験者だけの募集では代わりに指名の仕組み]
ここは働き方と契約の話に触れる。練習の時間を勤務時間として扱うかは、求人票にどう書いたかではなく、実際に参加が求められているかどうかで決まる。 雇用のスタッフについて、参加しないことを選べない練習であれば、閉店後であっても勤務時間にあたる。書き方を決める前に、自分の店の契約と実際の運用を確認してほしい。
「未経験歓迎」「アットホーム」といった呼びかけの言葉は、応募する人の頭に次の問いを立ててしまう。
未経験歓迎と読んだ人が次に知りたいのは、いつ練習するのかだ。営業時間の中なのか、閉店後なのか。そこが書かれていないまま「未経験歓迎」だけがあると、呼びかけが逆に働く。
しかも練習時間の扱いは、外から一切確かめようがない。 口コミにも媒体のページにも出てこない。書いていなければ、応募する人には想像するしかない。
もう1つ。「外部講習でお伝えしています」「研修制度あり」と書いても、練習時間を書いたことにはならない。 それは教育の中身の話であって、時間をどう扱っているかの話ではない。応募する人が知りたいのは後者になる。
「シフト制」「勤務時間応相談」は、書いたことにならない
[どの募集でも出る]
これも実物の求人ページを見て分かったことだ。媒体の欄の名前が、そのまま貼られていることが多い。
「休日:シフト制」——これは休みの日数を書いていない。
「勤務時間:応相談」——これは働く時間を書いていない。
欄は埋まっているので、店の側からは書けているように見える。応募する人の側からは、何も書かれていないのと同じになる。
- 休みは、週に何日か・年間何日かで書く(3分)
- 働く時間は、何時から何時までかで書く(3分)
埋まらない項目は、書き忘れではなく「まだ決めていない項目」
[試用期間はどの募集でも/最低保証は業務委託のときだけ/社会保険は雇用のときだけ]
ここも働き方と契約の話に触れる。 下の3つは条件そのものなので、書き方を決める前に自分の店の契約内容を確認してほしい。
試用期間、最低保証、社会保険。この3つが抜けている求人票は多い。書き忘れているのではなく、決まっていないから書けない。
ただし、社会保険だけは店が決めるものではない。 加入の要件を満たす働き方であれば、加入させることは法律上の義務であり、選べる項目ではない。求人票に書くのは、その店の働き方が要件を満たすかどうかになる。
書くのにかかる時間は、試用期間で3分、最低保証と社会保険は2分ずつだ。時間がかかるのは、書くことではなく決めることのほうになる。
決まってさえいれば、書き方はこれで足りる。
試用期間3か月(期間中の給与・待遇は本採用と同じ)
最低保証あり(月20万円・入社6か月まで)
最低保証なし
金額と期間は、必ず自分の店の数字に置き換えること。 求人票に書いた条件と実際の条件が違うと、入ってから必ず問題になる。書き方をそろえる話であって、条件をそろえる話ではない。
「最低保証なし」と正直に書くことを怖がらなくていい。書いていない状態は「なし」より不安に見える。
次の掲載を更新する前に、やること3つ
1. 抜けている項目を1つだけ選ぶ。
その募集で見る項目を上から見て、最初に見つかった空欄でいい。5分。
2. 決まっていない項目は、書く前に店の中で決める。
ここが一番時間がかかる。逆に言えば、決まった時点で書くのは3分で終わる。
3. 掲載を更新する前にやる。
出してしまうと、次に直せるのは掲載期間が終わる1か月後になる。
やらないこと:見る項目を一度に全部埋めること。 一度に全部やろうとした求人票は、たいてい途中で止まって、結局前と同じものが再掲載される。1回の募集で1つ。それで十分に変わる。
やらないこと:掲載プランを上げる前に、これを飛ばすこと。 掲載を強くしても、止まる場所が同じなら、止まる人数が増えるだけになる。席が空いたままの1か月がいくらかは、別の記事で数字にしている。
1回で終わらせない
サロン電卓の「求人票の穴つぶし」は、いま出している求人ページの本文を貼ると、その募集で見る7〜12項目を上から順に見て、書かれていなかったものを1つだけ名指しする。 全部は出さない。今日書ける1つだけを出す。
求人ページを貼れないときは、項目のボタンを「書いてあります/書いていません」で押していくだけでも、同じ答えが出る。
そして、この点検は1回では終わらない。募集のたびに1つずつ埋めていく。 3回募集すれば3つ埋まる。それだけで、1年前の求人票とは別のものになっている。
求人票の穴つぶし(サロン電卓・無料): https://salondentaku.com/apps/job-post-gaps
自分のお店の求人ページを貼るだけで、応募する人が知りたいのに書かれていない項目を点検。貼れないときは、項目のボタンを押すだけでも同じ答えが出ます。
登録なしで、無料でお使いいただけます。
- 採用が決まった。何を、いつまでにやればいいのか9月1日入社なら、8月31日までにやることは5つ。初日3つ、1週間目2つ、30日目は30分の面談ひとつです。
- スタッフが1人辞めた。空いたままの1ヶ月は、いくら持っていくのかスタイリスト6名の店で1席が1ヶ月空くと318,000円。3ヶ月で954,000円、1人採るお金の約4.0倍でした。