← 読みものの一覧に戻る

2店舗目の開業のお金は、3年で戻る見込みです。1日1人少なかったら、何年かかるのでしょうか

2026年10月2日

美容室の話です。いまは1店舗。2店舗目の物件を見つけました。

家賃は共益費込みで、月35万円です。金額は店や物件によって違います。ここでは一例として、この計画の数字で計算します。

スタイリストは3人で始めます。人件費は、社会保険料まで入れて月90万円。ご自身の報酬は、いまの店から出す計画です。水道光熱や広告などのその他が、月20万円。

毎月かかるお金は、合わせて145万円です。

客単価は8,000円。材料費は、その7%と置きました。

内装と設備、敷金、開業してしばらくの運転資金まで足すと、開業にかけるお金は1,200万円になりました。

見込みは、1日9.6人。25日営業で、月240人です。このとおり来れば、1,200万円は約3年で戻ります。

ここで、ふと思いました。見込みより1日1人少なかったら、何年かかるのか。

みなさんは、見込みの客数を少し下げたときの年数まで、出したことはあるでしょうか。

この記事は、1日1人の差で、戻るまでの年数がどう変わるのか、その1点だけに答えます。

1日1人少ないと、戻るまで6年9か月です

先に答えを書きます。

1日8.6人、月215人だと、1,200万円が戻るまで約81か月、6年9か月かかります。

お客様1人あたりの粗利は、客単価8,000円から材料費の7%を引いて、7,440円です。

毎月の利益は、粗利の合計から、毎月かかるお金を引いた残りで見ます。

  • 月240人 240人×7,440円−145万円=335,600円
  • 月215人 215人×7,440円−145万円=149,600円

1,200万円を、それぞれで割ると35.8か月と80.2か月。端数を切り上げて、約36か月と約81か月です。

減ったお客様は25人。25人×7,440円で、186,000円です。

毎月かかるお金の145万円は、お客様が減っても1円も減りません。ですから、186,000円がそのまま、毎月の利益から抜けます。

335,600円から186,000円を引いて、149,600円。

客数が1割ほど減っただけで、毎月戻せるお金は半分を切るのです。

ここまでの金額と客数は、例として置いた値です。ご自分の計画の数字に置き換えて読んでください。

戻るまでの年数を、客数と同じ割合で読まないでください

いちばん大事なところを書きます。

客数が1割減れば、戻るまでも1割延びる。そう読みたくなります。実際は、2倍を超えて延びました。

240人分の粗利は、まず毎月かかるお金の145万円に使われます。195人目のあたりで、145万円はちょうど埋まります。

開業のお金に回るのは、その先のお客様の分だけです。

見込みの客数のうち、開業のお金を返しているのは、195人を超えた分だけなのです。

240人なら、超えた分はおよそ45人。215人なら、およそ20人。減った25人は、全部この「超えた分」から抜けています。

45人分が20人分になれば、戻るまでの年数は2倍を超えます。

195人に近づくほど、戻るまでの年数は一気に延びます

見込みの客数を、1日0.4人ずつ下げて並べます。月の利益と戻るまでの年数は、上と同じ式で出しています。

1日の客数月の利益戻るまで
9.6人335,600円3年0か月
9.2人261,200円3年10か月
8.8人186,800円5年5か月
8.4人112,400円8年11か月
8.0人38,000円26年4か月

客数は、同じ幅でしか減っていません。それでも、戻るまでの年数は、下に行くほど大きく開きます。

1日7.8人、月195人まで下がると、利益は月800円です。1,200万円が戻るまでは、1,000年を超えます。

見込みが195人に近い計画ほど、少しの外れで、年数が大きく動くのです。

3年は、借入を返す前、税金を払う前の年数です

この記事の「戻るまで」は、開業にかけたお金を、毎月の利益で割った年数だけです。

次のものは入っていません。

  • 借入の返済と利息。借りて開業するなら、実際に戻るのはこれより先です
  • 税金
  • 開業してから、客数が見込みに届くまでの赤字。ここでは、最初の月から240人来る前提です
  • 店販の売上。客単価は、技術の売上だけで置いています

最初の数か月の赤字そのものは、計算には入りません。その分を運転資金として開業のお金に入れておくと、実際の年数に近づきます。この例の1,200万円には、その分も入れてあります。

1日9.6人が来るかどうかは、この計算からは分かりません

この計算は、次のものを見ていません。

  • 物件のまわりに、どれだけお客様になりそうな人がいるか
  • 近くにある、ほかの店

そして、いちばん大きい限界を1つ。見込みの9.6人が本当に来るかどうかは、ここまでの数字からは分かりません。

いちばん近い手がかりは、いまの店です。開けた最初の1年、1日に何人だったか。その数を、9.6人の横に置いてみてください。

見込みの客数ごとに、戻るまでの年数を出す道具があります

ここまでの計算は、電卓でもできます。ただ、見込みを少しずつ動かして、そのたびに年数を出し直すのは手間がかかります。

その手間のほうを引き受ける道具として、サロン電卓に「出店の損益分岐(新しい店)」があります。

入れるのは、客単価、家賃、人件費、その他の毎月かかるお金、開業にかかるお金の5つです。業種は最初から美容室で、材料費は7%が入っています。

出るのは、赤字にならない月の客数と、1日あたりの人数です。この例なら、月195人、1日およそ7.8人と出ます。

見込む客数を動かすと、その客数での月の利益と、開業のお金を返し終わるまでの月数が出ます。最初は、赤字にならない客数の2割増しのあたりに置かれています。この例なら240人です。

215人に動かすと、月の利益は149,600円、返し終わるまでは約81か月と出ます。

材料費の7%は消さないでください。消すと0円として計算され、赤字にならない客数が182人と少なく出ます。

開業にかかるお金は、赤字にならない客数には使われません。戻るまでの月数だけに使われます。

今夜やることは1つです。見込んでいる1日の客数から1人引いて、その客数でも、戻るまでの年数を出してください。2つの年数の差が、あなたの計画が見込みにどれだけ頼っているかを教えてくれます。

この記事で使った道具
🏪 出店の損益分岐(新しい店)

新しく店を出すとき、毎月何人来れば赤字にならないかを、家賃・人件費・客単価から計算します。

登録なしで、無料でお使いいただけます。

この記事に関係する読みもの
一緒に見ておく道具

サロン電卓には、いま35本の道具があります。道具の一覧を見る →

美容室の2店舗目。1日1人の差で、開業のお金が戻る年数|サロン電卓