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8,000円を8,800円にする。お客様は300人のうち、何人まで減っていいのか

2026年8月27日

美容室の話です。スタイリスト3名、平均単価8,000円、来店は月300人。月商240万円の店。

材料も薬剤も上がって、スタッフの給料も上げたい。8,000円を8,800円にしたい。

でも、何人か離れる。

その「何人か」が読めないから、去年も同じことを考えて、そのままになった。この記事は、その1点だけに答えます。

27人まで。300人のうち27人が離れても、粗利は減らない

先に答えを書きます。

8,000円を8,800円にしたとき、耐えられるのは月27人まで。 割合にすると 9.1% です。273人が残れば、粗利は今と同じ水準を保てます。

(9.1%を300人にかけると27.3人になります。人は小数で数えられないので、切り捨てて27人です)

言い方を変えます。300人が273人になっても、店に残るお金は変わりません。27人までは、減っていい人数です。

ここでいう「残るお金」は、粗利です。売上から材料費だけを引いた金額で、家賃も人件費も引いていません。利益ではありません。 以下、この記事の金額はすべて粗利の話です。

数えたことのない数字だと思います。値上げの相談で出てくるのは、たいてい「何人か減るよね」「まあ減るよね」で終わる話です。その「何人か」には、はっきりした線があります。

「1割上げたから、1割減っても同じ」ではない。9.1%です

ここが、いちばん間違えやすいところです。

8,000円を8,800円にするのは、10%の値上げです。だから「10%減っても同じはず」と考えたくなります。300人の10%で30人。

違います。27人です。

計算はこうです。

値上げ額 800円 ÷ 値上げ後の単価 8,800円 = 9.09%

割る相手が、値上げの8,000円ではなく、値上げの8,800円です。だから10%より少し狭くなります。

3人の差です。小さく見えます。金額にすると、こうなります。

  • 30人まで大丈夫だと思って、実際に30人離れた場合 → 月の粗利は今より 22,320円 少ない
  • 1年で 267,840円

(材料費率7%で計算しています。この7%はKUROCOの現場実感による目安で、公的な統計ではありません)

値上げをするかどうかで悩んでいる人が、27万円ぶん甘く見積もったまま決めることになります。「1割上げたから1割」で丸めないでください。

材料費率を変えても、この9.1%は動きません

もう1つ、思い込みで止まっている人が多いところです。

「うちは材料費が高いから、値上げしても余裕がない」 — この計算に関しては、当たりません。

材料費率を7%で計算しても、12%で計算しても、20%で計算しても、耐えられる離客率は9.1%のままです。

理由は単純です。お客様が1人減ると、その人にかかるはずだった材料費も同時に消えます。売上の側と材料費の側で同じ割合が消えるので、割り算をしたときに打ち消し合います。

だから、値上げをためらう理由に材料費率を持ってこないでください。材料費率が効くのは「何人まで大丈夫か」ではなく、「いくら増えるか」の方です。

  • 材料費率7%、1人も減らなかった場合 → 月の粗利は 223,200円 増える
  • 中身は、1人あたり 744円 の増加です(値上げ額800円から、材料費の分7%を引いた金額)

(材料費率が高い店ほど、この744円は少し小さくなります。それでも、何人まで減っていいかの9.1%は動きません)

27人は上限であって、目標ではありません

ここを取り違えると、値上げをする意味がなくなります。

27人は「ここまでなら損しない」という線です。「27人までなら離れていい」という許可ではありません。

離れた人数によって、店に残る金額はこう変わります。

離れた人数残る人数今と比べて、月の粗利は
0人300人+223,200円
15人(5%)285人+100,440円
27人(9.1%)273人ほぼ変わらない
30人(10%)270人−22,320円

値上げをする理由は、いちばん上の行にあります。1人も減らなければ月に22万円、5%減っても月に10万円。1年で120万円です。

そして、27人の行を見てください。ここまで離れても、マイナスにはなりません。 値上げをためらっている人が本当に怖いのは損をすることで、その損は、300人のうち27人を超えて離れたときに初めて始まります。

実際に何人離れるかは、この記事にも道具にも分かりません

正直に書きます。

「8,800円にしたら、実際に何人離れるのか」に答えられる数字は、持っていません。

来店の間隔、担当者との関係、周りの店の価格、その値上げをどう伝えるか。全部で変わります。店によって違います。 ここに「一般的には5%です」と書いてある記事があったら、その5%がどこから来たのかを確かめてください。

答えられるのは、もう片方だけです。何人までなら損しないのか。 その線が27人だと分かっていれば、決められます。

線を知らないまま「何人か減るよね」と言っているうちは、去年と同じところで止まります。

結果が出るのは、値上げした翌月ではありません

最後に1つ。

値上げの結果は、翌月には出ません。

お客様の来店が2ヶ月おきなら、値上げ後の価格を見るのは2ヶ月後です。3ヶ月おきの方は3ヶ月後です。全員が新しい価格を1回ずつ見終わるまで、離れたかどうかは分かりません。

だから、値上げをした翌月に客数が落ちていなくても安心はできませんし、落ちていても慌てないでください。見るのは1ヶ月ではなく、来店が一巡するまでです。 自分の店の来店の間隔がだいたい何ヶ月かを思い出して、その月数ぶん並べてから判断してください。

そして、その間に見るのは客数ではなく粗利です。客数は減っても、粗利が保てていれば、その値上げは成立しています。

サロン電卓の「料金改定シミュレーター」は、今の平均単価・月の来店客数・値上げ後の平均単価の3つを入れると、耐えられる離客率と、何人まで減っていいかを出します。8,000円を8,800円にして月300人なら、9.1%・27人まで・273人が残ればよい、と出るのがこの画面です。材料費率を入れると、粗利が月いくら増えるかも並びます。

登録なしで使えます。値上げ後の単価を何通りか入れ直すと、耐えられる人数がその場で入れ替わるので、いくら上げるかを決める前に触ってみてください。

値上げしたあとに毎月いくら売れば赤字にならないかは、別の道具(損益分岐の月商)で出します。

この記事で使った道具
📈 料金改定シミュレーター

値上げを検討するとき、何%のお客様が離れるまでなら粗利が減らないかをその場で計算。

登録なしで、無料でお使いいただけます。

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