アイサロンで、歩合を1%上げます。社会保険の会社負担まで入れると、店にいくら残るでしょうか
2026年10月22日アイサロンの場面で書いています
アイサロンの話です。席は4つ、アイリストは3人の店です。3人とも雇用で、会社で社会保険に入っています。
この店では、年に一度、歩合率を見直します。いまは、固定給220,000円に、その方の技術売上の10%を上乗せしています。技術売上というのは、施術でいただいた売上のことです。商品の販売は入れません。
今年は3人とも、10%から11%に上げたいと考えています。この1年、よく店を支えてくれたからです。
店の数字を入れて、歩合率を11%に動かしてみました。店の月の営業利益は、195,000円から180,000円になりました。
15,000円減っても、まだ180,000円残る。そう読んで、決めかけていませんか。
1%で出ていくのは月15,000円。小さく見えているのは、残りのほうです
先に答えを書きます。
歩合率を10%から11%にすると、こうなります。
- アイリスト1人あたり 月 +5,000円 年 +60,000円
- 店の営業利益 月 −15,000円 年 −180,000円
1人あたりの技術売上は、月50万円です。その1%が5,000円で、3人ぶんで15,000円になります。ここは、画面のとおりです。
違うのは、15,000円を引く元のほうです。画面の営業利益195,000円は、社会保険の会社の負担分を引く前の金額です。
会社の負担分を、ならして額面のおよそ15%と置きます。少なめに見た数字です。引くと、残りはおよそ73,500円です。1%上げると58,500円になります。
15,000円は、73,500円の2割ほどにあたります。画面の195,000円から見ると、1割に届きません。
同じ15,000円でも、どの残りから引くかで、重さが倍以上ちがって見えます。
画面の人件費には、会社の負担分が入っていません
画面に出る内訳の金額を、並べます。歩合率は、いまの10%です。
| 金額 | |
|---|---|
| 月の技術売上(50万円 × 3人) | 1,500,000円 |
| ↳ 材料費(3%) | −45,000円 |
| ↳ 人件費(270,000円 × 3人) | −810,000円 |
| ↳ 家賃・その他 | −450,000円 |
| 店の月の営業利益 | 195,000円 |
材料費率の3%は、業種でアイサロンを選ぶと入る目安です。家賃とその他の毎月かかるお金は、月450,000円で置いています。
270,000円は、固定給220,000円に、歩合50,000円を足した金額です。1人あたりの月の支給額で、額面です。額面というのは、税金と社会保険を引く前の金額のことです。
給与を払うと、会社は健康保険や厚生年金などの保険料を負担します。給与から引いている本人の分とは別に、ほぼ同じ額を会社も払っています。この分が、人件費の810,000円に入っていません。
画面にも、営業利益の枠の、いちばん下に書いてあります。「雇用のスタッフの社会保険は、会社の負担分をまだ引いていません。」
会社の負担分を、ならして15%と置いてみます
会社の負担分の率は、店のある都道府県や入っている健康保険、本人の年齢などで変わります。40歳からは、介護保険の分が加わります。ここでは、ならしておよそ15%と置きます。
- 1人あたり 270,000円 × 15% = 40,500円
- 3人で 40,500円 × 3人 = 121,500円
画面の195,000円から121,500円を引くと、73,500円です。
1%上げたあとも、同じ形で並べます。画面の営業利益は180,000円です。ここから同じ121,500円を引くと、58,500円になります。
73,500円が、58,500円に。減るのは画面と同じ15,000円でも、残りの2割が出ていきます。
1%の5,000円では、会社の負担はすぐには増えません
1%上げたあとも、121,500円のままで引きました。理由を書きます。
健康保険と厚生年金の保険料は、支給額をいくつかの段に分けた表で決まります(標準報酬月額の等級といいます)。支給額には、通勤手当や残業代も入ります。段は年に一度決まり、毎月の支給額で決め直すものではありません。月270,000円と275,000円は、同じ段に入ります。この店では、1%上げても、この2つの保険料は変わりません。
支給額が段の境目に近い店では、次に段が決まるときに一段上がり、会社の負担も増えます。3人とも上がると、15,000円の半分を超えることもあります。
雇用保険や労災保険のように、支給額にそのままかかる保険料もあります。こちらは、15,000円にくらべれば小さな金額です。
段をまたがない店なら、社会保険の分は増えず、1%で店から出ていく金額は、画面の15,000円で、ほぼ足ります。画面だけでは分からないのは、引く元の残りのほうです。
15%は、ならして置いた目安です
この記事の15%は、例として置いた数字です。この店で会社が負担しているおよその額は、スタッフの給与明細で分かります。健康保険と厚生年金で引いている額と、ほぼ同じ額を会社も払っています。
給与明細で分かるのは、1人分の額です。人数ぶん足せば、画面の営業利益から引くだけです。この店の、本当の残りが出ます。
この記事の店は、3人とも社会保険に入っている例です。入るかどうかは、店が法人か個人か、何人いるか、週に何時間働くかで決まります。要件を満たす働き方であれば、店が選べるものではありません。
画面の営業利益には、ほかにも入っていないものがあります。
- 税金、借入の返済、自分の役員報酬
- 指名料、店販の歩合、役職手当、残業代、賞与、退職金。残業がある店では、歩合を上げると残業代も一緒に増えます。店から出ていく額は、15,000円より大きくなります。
- 1人ひとりの給料。出ているのは、3人の平均です
そして、11%にしたら3人が喜んでくれるか、この先も店にいてくれるかは、どの数字からも分かりません。
営業利益の枠の、いちばん下の1行まで出す道具です
サロン電卓の「人件費・歩合シミュレーター」は、歩合率を動かすと、1人あたりの支給額と店の営業利益が、同時に動きます。
この店では、こう入れました。
- 「うちのスタッフは」で、雇用のスタッフだけ
- 「業種」で、アイサロン(材料費率の欄に3が入ります。支給額は1円も変わりません)
- 1人あたりの月の技術売上 500,000、家賃・その他 450,000、人数 3、固定給 220,000
- 「歩合の付き方」で、固定給に上乗せする
- いまの歩合率 10
そろうと、画面のいちばん上に、支給額270,000円と、営業利益195,000円の枠が出ます。営業利益の枠のいちばん下に、社会保険の1行があります。

入力欄より下に、「内訳」の表があります。人件費は810,000円、「売上に対する人件費の割合」は54.0%です。この54.0%にも、会社の負担分は入っていません。

支給額の枠のすぐ下に、歩合率を動かす棒があります。11%まで1つ動かすと、1人あたり月+5,000円、店の営業利益は月−15,000円と出ます。

棒を動かすと、すぐ下の営業利益の枠も180,000円に替わります。枠のいちばん下の社会保険の1行は、そのまま残ります。
https://salondentaku.com/apps/labor-share
歩合率を決める前に、スタッフ全員の給与明細を、手元に置いてください。
歩合率を動かすと、スタッフ1人あたりの支給額と、店の営業利益に何が起きるかを同時に計算します。歩合率1%が、店とスタッフそれぞれにいくらなのかを出します。
登録なしで、無料でお使いいただけます。
- 美容室歩合の画面で赤い字が出ました。どの欄を埋めればいいですか1つ目の欄に数字を打ったら、答えの枠が消えて赤い字が出た。そこで止まっていませんか。
- 美容室「1%でいいので上げてもらえませんか」と言われました。この1%は、いくらのことですかスタッフから「1%でいいので」と言われて、返事に詰まる。その1%がいくらか、決まっていないからです。店の側にも、スタッフの側にも、金額があります。
- 美容室美容室で、歩合の人と、席料をいただいている人がいます。「今月の歩合の支払額」には、どう入れますか席料をいただいている人は、「働き方」で[席料制]を選びます。入れるのは売上と席料の2つで、率の欄は出ません。席料を率に直して[歩合制]に入れると、売上が動いた月にずれます。
- 美容室9月の歩合が、売上は同じなのに15,000円増えました。どこかで間違えたのでしょうか売上は先月と同じなのに、歩合だけが増えていました。指名とフリーの分かれ方から、増えた分を探します。
- 💴 今月の歩合の支払額上げたあとの歩合率で、お一人ずつの支払額と、店から出ていく合計が出ます。
サロン電卓には、いま37本の道具があります。道具の一覧を見る →