売上は増えたのに、9月の残りが4.8万円減りました。もうけが減ったのでしょうか
2026年9月30日
美容室の話です。スタイリストは3人、1店舗。
10月に入って、9月の締めをしました。
売上から、人件費と材料の仕入れと家賃と広告費を引きます。この店では、引いたあとの金額を「残り」と呼んでいます。
9月の売上は156万円でした。8月の148万円より、8万円増えています。
ところが、残りは33.4万円。8月の38.2万円より、4.8万円少なかったのです。
売上が増えたのに、残りが減った。みなさんも、締めの数字を見てここで手が止まったことはないでしょうか。
この記事は、減った4.8万円がどこへ行ったのか、その1点だけに答えます。
4.8万円減ったのは、10月のカラー剤を先に仕入れたからです
先に答えを書きます。
残りが減ったのは、10月に使うカラー剤を、9月のうちに仕入れたからです。
8月と9月の引き算を並べます。売上は税抜きです。
- 8月 148万円−人件費66万円−材料14.8万円−家賃25万円−広告費4万円=38.2万円
- 9月 156万円−人件費69万円−材料24.6万円−家賃25万円−広告費4万円=33.4万円
大きく動いたのは材料です。14.8万円から24.6万円へ、9.8万円増えています。
9月は、問屋さんがまとめ買いの値引きをしていました。そこで、よく使うカラー剤を2か月分まとめて頼みました。
カラー剤の1か月分は、9月に払った値段で9.0万円です。増えた9.8万円のうち9.0万円は、10月に使う分でした。あとの0.8万円は、お客様が増えて使った分です。
9月の残りに、先に仕入れた9.0万円を足し戻します。33.4万円に9.0万円を足して、42.4万円。使った分で見ると、9月の残りは8月より4.2万円多いのです。
ここまでの金額は、例として置いた値です。ご自分の店の締めの数字に置き換えて読んでください。
材料の仕入額を、使った量と読まないでください
いちばん大事なところを書きます。
この店の締めの引き算に入れる材料は、その月に仕入れた材料の金額です。その月に使った分の金額ではありません。
ですから、まとめて仕入れた月は、材料が大きく出て、残りが小さく出ます。店が損をしたのではありません。仕入れた月が、使う月より先に来ただけです。
材料費率、つまり材料の仕入額を売上で割った割合でも、同じことが起きます。
8月は、14.8万円を148万円で割って10.0%。9月は、24.6万円を156万円で割って15.8%になりました。
15.8%を見ると、「薬剤を使いすぎている」と読みたくなります。
けれど、10月の分の9.0万円を除いて割り直すと、10.0%。8月と同じです。
使いすぎを疑う前に、まとめて仕入れた材料がないかを先に見てください。
10月は、反対に残りが増えて見えます
まとめて仕入れた次の月には、反対のことが起きます。
10月は、カラー剤を頼まずに済みます。10月も売上・人件費・家賃・広告費が9月と同じだったとすると、材料は6.6万円です。
すると、10月の残りは51.4万円。9月より18万円多く出ます。
この18万円も、もうけが急に増えたわけではありません。9月に小さく出た分と、10月に大きく出る分が、両方入っているのです。
3か月を並べます。金額の単位は万円です。8月と9月は締めた数字、10月は見込みです。
| 8月 | 9月 | 10月(見込み) | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 148 | 156 | 156 |
| 人件費 | 66 | 69 | 69 |
| 材料の仕入額 | 14.8 | 24.6 | 6.6 |
| 家賃 | 25 | 25 | 25 |
| 広告費 | 4 | 4 | 4 |
| 残り | 38.2 | 33.4 | 51.4 |
| 材料費率 | 10.0% | 15.8% | 4.2% |
| 使った分で見た残り | 38.2 | 42.4 | 42.4 |
残りは大きく上下しています。10月の材料費率4.2%も、薬剤の使い方が良くなったわけではありません。使った分で見た残りは、9月も10月も42.4万円のままです。
まとめて仕入れた月と、その次の月は、2か月の残りを足して2で割って見てください。
33.4万円と51.4万円を足して2で割ると、42.4万円。使った分で見た9月の残りと、同じ数になります。
残りには、水道光熱費が入っていません
この店の「残り」は、4つを引いたあとの金額です。
水道光熱、通信、機械のリースは引いていません。締めの日には、まだ請求が来ていないことが多いからです。
ですから、残りの33.4万円が、そのまま手元に残るわけではありません。
残りは、4つを引いたところまでの数です。 月ごとに同じ引き方で並べるから、比べる意味があります。
どれが来月の分かは、締めの数字からは分かりません
この引き算は、次のものを見ていません。
- 棚に残っている薬剤の量
- 1回の施術で使う薬剤の量
そして、いちばん大きい限界を1つ。24.6万円のうちいくらが来月の分かは、締めの数字からは分かりません。
分かるのは、何をいつ頼んだかを覚えている人だけなのです。
締めの引き算を、毎月引き受ける道具があります
ここまでの引き算は、電卓でできます。ただ、毎月同じ引き算をして、先月と並べる。それを続けるとなると、並べるところで手が止まります。
毎月の締めの引き算を引き受ける道具として、サロン電卓に「今月の締めの1枚」があります。
入れるのは、その月の税抜きの売上、来店人数、払った人件費、材料の仕入額、家賃です。広告を出した月は、広告費も入れます。
出るのは、売上・客単価・人件費率・材料費率・残りの5つです。人件費率は、払った人件費を売上で割った割合です。残りは、この記事と同じく、4つを引いたあとの金額です。水道光熱・通信・リースなどが入っていないことも、そのまま書いてあります。
月が終わってから使う道具なので、最初から先月が選ばれています。10月に開けば、9月の締めになります。
先月の締めを道具に預けてあった月だけ、先月との差が出ます。初めて開いた月には出ません。
差が出た月は、来月やることも1つ出ます。人件費率、材料費率、客単価、残りの順に見て、最初に当たった1つです。どれにも当たらない月は出ません。人件費率と材料費率は、0.5ポイントより大きく上がったときだけ当たります。
8月の締めを預けてあれば、この店の9月には「材料費率が上がっています」と出ます。仕入れの量か、1施術あたりの使う量が増えている可能性がある、と添えられます。
この店は、仕入れの量のほうでした。どちらなのかは、道具にも分かりません。
お客様の名前は、1文字も扱いません。入れるのは、人数と金額だけです。
https://salondentaku.com/apps/monthly-close
今夜やることは1つです。9月の材料の納品書を出して、10月以降に使う分をまとめて頼んだものがないかを見てください。あれば、その金額を締めの数字の横に書き添えます。あなたの店の残りが本当に減ったのかは、その1行で見分けられます。
- スタッフ3人のお給料を、1万円ずつ上げたい。お客様は月にあと何人要るのでしょうかお給料を上げたい。けれど、上げたあとも店が回るのかが分からず、まだ切り出せずにいませんか。上げる金額を、お客様の人数に直します。
- 毎月1,450,000円が出ていく店で、1,450,000円を売れば赤字にならないのか毎月出ていくお金が1,450,000円なら、1,450,000円売れば赤字にならない——そうはなりません。足し算ではなく割り算です。
- 歩合の画面で赤い字が出ました。どの欄を埋めればいいですか1つ目の欄に数字を打ったら、答えの枠が消えて赤い字が出た。そこで止まっていませんか。
- 「1%でいいので上げてもらえませんか」と言われました。この1%は、いくらのことですかスタッフから「1%でいいので」と言われて、返事に詰まる。その1%がいくらか、決まっていないからです。店の側にも、スタッフの側にも、金額があります。
- 🧪 材料費・薬剤の1施術あたり原価1回に使う量から、その施術にかかっている薬剤の金額が出ます。
サロン電卓には、いま35本の道具があります。道具の一覧を見る →